アレルギー

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎は、全身の皮ふに強いかゆみを伴う湿疹が慢性的に続く疾患です。ここでの「慢性的」とは、1歳未満の乳児では2か月以上、1歳以上の場合は6か月以上続くことを指します。症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すのも、この疾患の特徴です。患者さまの多くはアトピー素因(気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎を合併しやすい体質)を持っています。

診断・検査

  • アトピー性皮膚炎の診断と特徴

    診断は皮ふの状態や症状を観察して行います。アトピー性皮膚炎の病変は、左右対称に現れることが特徴の一つです。
    また、お子さんの年齢によって症状が出やすい部位が異なるのも特徴です。診断の参考として、アレルギーの血液検査を実施することもあります。

治療

アトピー性皮膚炎の治療には大きくわけて以下の4つがあります。

  • 1

    スキンケア

    肌の乾燥は、かゆみや湿疹の原因になります。乾燥から皮膚を守るために、保湿剤を使いましょう。
    保湿剤の効果は1日中持続するわけではないため、1日2回以上の保湿(朝と入浴後)をおすすめしています。
    また、お風呂では汚れをしっかり落とし、すすぎ残しがないようにすることも大切です。

  • 2

    環境整備

    アトピー性皮膚炎のお子さんにとって、ダニやハウスダストはアレルギー反応の原因になることがあります。布団やカーテン、ソファは、定期的に掃除をして清潔に保ちましょう。

  • 3

    外用療法(塗り薬)

    皮ふに赤みやザラザラ感があり、炎症が起きているときは、ステロイドの塗り薬で炎症を鎮めることが重要です。日本皮膚科学会の診療ガイドラインでも、ステロイド外用薬が第一選択の治療とされています。
    炎症の程度や部位によって、ステロイドの強さを使い分けます。また、お子さん一人ひとりで症状の経過が異なるため、それぞれに合った治療期間を提案します。
    また、ステロイド以外にも炎症を抑える薬がありますので、部位や炎症の程度に応じて適切な治療を選択することもあります。

  • 4

    内服療法(飲み薬)

    アトピー性皮膚炎は、肌を掻くことで症状が悪化することがありますので、かゆみを抑える目的で抗アレルギー薬の内服を行うことがあります。

よくいただくご質問

  • ステロイドの塗り薬にはどのような副作用がありますか?

    ステロイド外用薬は、必要以上に長期間使用すると、皮ふが薄くなる、真菌や細菌による感染症を引き起こすといったリスクがあります。しかし、定期的に通院し、症状に合わせて適切に治療を行えば、副作用のリスクはほとんどありません。
    一方で、副作用を恐れて皮ふの炎症を放置してしまうと、「苔癬化(たいせんか)」といって、皮ふがごわごわと固くなってしまう可能性があります。
  • 薬の使い方で注意することはありますか?

    薬を塗ってもかゆみや赤みが改善しない場合は、再度受診してください。炎症に対して薬の強さが不十分だと、長期間だらだらと使用してしまうことになりますので、炎症の程度に合った薬を使うことが大切です。
    また、薬によって皮ふの見た目が改善していても、炎症が残っている場合があります。薬は急にやめず、少しずつ減らしていくことが大切です。定期的に通院していただければ、薬の減らし方について具体的にご提案いたします。