リウマチ外来
その症状、リウマチかもしれません
関節の腫れや痛みが長引く場合や、原因不明の発熱が続く場合は、リウマチ科の受診をご検討ください。問診や診療をもとに、必要に応じて採血や画像検査を行い、診断を進めてまいります。疾患によってはクリニック内で診断が完結しないこともございます。その際は、その症状に応じて近隣の総合病院へご案内いたします。
リウマチ外来と
整形外科の病診連携
関節リウマチに合併した変形性関節症など、整形外科が得意とする病態がみられる場合は、整形外科の受診をお願いしています。一方で、整形外科に通院中の方で手指の関節腫脹が長引く場合や原因不明の発熱が続く場合には、リウマチ外来の受診をご検討いただけます。
それぞれの専門分野を活かしながら、患者さまの生活を支えてまいります。
下記の症状がある方は
ご相談ください
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関節が痛い・腫れる・
こわばる
●関節の痛み、腫れ、熱感
●ボタンの着脱が難しい
●ペットボトルや瓶の蓋の開閉が難しい
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寒いときに
手足指先の色調が
変化する
(レイノー現象)
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その他
●首・わきの下・そけい部などの腫れがある(リンパ節腫大)
●皮膚科の治療で改善されない皮疹がある
●脱毛が続いている
●腰痛が長く続いている
関節の痛みや腫れは、加齢に伴う変形性関節症や変形性脊椎症によることが多いですが、関節リウマチなどの膠原病が潜んでいる可能性もあります。
医師紹介
総合内科専門医・リウマチ専門医・
アレルギー専門医
村上 義彦
Yoshihiko Murakami
日本内科学会 総合内科専門医
日本リウマチ学会 リウマチ専門医
日本アレルギー学会 アレルギー専門医
関節リウマチ
関節リウマチ(RA)は、自己免疫異常により関節の滑膜が炎症を起こし、進行性の関節破壊を引き起こす慢性炎症性疾患です。発症は男女問わず見られますが、特に30~50代の女性に多く、遺伝的要因や環境因子が関与すると考えられています。進行すると関節が変形し、日常生活に支障をきたすほか、全身の臓器にも影響を及ぼすことがあります。早期診断と適切な治療が、関節破壊の抑制や生活の質(QOL)の向上に重要です。
症状
関節リウマチの初期症状は、朝のこわばり、関節の腫れ、痛み、発熱感などが特徴です。進行すると、関節の変形や可動域制限が生じ、手指や手首、膝、足首などの関節が影響を受けやすくなります。また、倦怠感や微熱、食欲不振などの全身症状を伴うこともあります。重症化すると関節だけでなく、肺、心血管、目、皮膚などの臓器にも炎症が波及し、間質性肺炎や動脈硬化のリスクが高まることがあります。現代のリウマチ診療では、関節の変形を起こさせないことを重視しています。
原因
関節リウマチの根本的な原因は不明ですが、自己免疫異常が主な要因とされています。遺伝的要因のほか、喫煙や感染症、ホルモンバランスの変化などの環境因子も発症に関与します。異常な免疫反応により滑膜が炎症を起こし、免疫細胞が過剰に活性化することで関節が破壊され、進行すると骨や軟骨の損傷が進行します。
治療法
治療の目的は、炎症を抑え関節破壊を防ぎ、患者のQOLを向上させることです。治療には抗リウマチ薬(DMARDs)が中心となり、メトトレキサート(MTX)が第一選択薬とされています。症状が強い場合は、ステロイドや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を併用することもあります。最近では、分子標的薬や生物学的製剤(バイオ製剤)が登場し、TNF阻害薬(インフリキシマブ、エタネルセプト)やIL-6阻害薬(トシリズマブ)、JAK阻害薬(トファシチニブ、バリシチニブ)などが使用され、治療の選択肢が広がっています。適切な薬剤選択と定期的なモニタリングにより、寛解を目指すことが可能になっています。
痛風・偽痛風
痛風は、尿酸が関節内に結晶化して関節の腫れや痛みを引き起こす疾患です。特に足の親指の付け根に多く発生し、男性に多く見られます。慢性化すると関節の変形や腎障害を引き起こす可能性があります。食生活や生活習慣が大きく影響し、放置すると発作が繰り返されるため、適切な管理が必要です。
症状
痛風発作は突然発生し、関節の激しい痛み、腫れ、発赤、熱感を伴います。初期は足の親指の関節に多いですが、進行すると膝や手首などにも広がることがあります。発作は数日から1週間程度続き、治まると無症状の期間が続きますが、放置すると再発を繰り返し慢性化することがあります。
原因
痛風は、血液中の尿酸値が高くなり、関節内に尿酸結晶が沈着することで発症します。高尿酸血症の原因には、プリン体を多く含む食品(肉類・アルコールなど)の摂取、腎機能の低下、遺伝的要因、肥満、ストレスなどが関与します。尿酸の排泄が低下することで血中濃度が上昇し、結晶が形成されやすくなります。
治療法
痛風の治療は、発作時の炎症を抑える対症療法と、再発予防のための尿酸値管理が中心です。急性期には非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やコルヒチンが用いられます。再発防止のためには、尿酸生成抑制薬(アロプリノールなど)や尿酸排泄促進薬を使用し、食生活の改善や適度な運動、水分摂取が推奨されます。
全身性エリテマトーデス(SLE)
全身性エリテマトーデス(SLE)は、自己免疫の異常により全身の臓器や組織に炎症を引き起こす自己免疫疾患です。特に若年~中年女性に多く、免疫系が自身の細胞を攻撃することで多彩な症状が現れます。SLEは慢性的に経過し、再燃と寛解を繰り返すことが特徴です。症状は軽度のものから重篤な臓器障害を伴うものまで様々で、特に腎臓(ループス腎炎)、皮膚、関節、中枢神経、血液系への影響が問題となります。早期診断と適切な治療が、臓器障害の進行を抑え、生命予後の改善に重要です。
症状
SLEの症状は多岐にわたり、代表的なものに頬に蝶形紅斑(顔の両側に赤い発疹)、関節炎、発熱、倦怠感があります。また、光過敏(紫外線に対する異常な反応)、口腔潰瘍、脱毛、レイノー現象(寒冷時に指が白くなる)などの皮膚症状も見られます。重症例では、腎炎(ループス腎炎)、中枢神経症状(けいれん、精神症状)、心膜炎・胸膜炎などの臓器障害を引き起こすことがあります。血液異常として貧血や血小板減少、抗リン脂質抗体症候群による血栓症のリスクもあります。
原因
SLEの正確な原因は不明ですが、遺伝的要因と環境因子の相互作用が関与していると考えられています。環境因子としては、紫外線暴露、ウイルス感染、ホルモンバランスの変化(エストロゲンの影響)、ストレスなどが発症や増悪の要因とされています。異常な免疫反応により自己抗体(抗核抗体、抗ds-DNA抗体など)が産生され、全身の組織に炎症や損傷を引き起こします。
治療法
SLEの治療は、症状の重症度や臓器障害の有無に応じて異なります。軽症例ではヒドロキシクロロキン(抗マラリア薬)や低用量ステロイドが基本治療となります。中等度以上では、ステロイドのほか免疫抑制薬(アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル、シクロホスファミド)が使用されます。最近では、生物学的製剤や分子標的薬が登場し、B細胞を標的とするベリムマブ(抗BAFF抗体)や、インターフェロン阻害薬(アニフロルマブ)が用いられ、治療の選択肢が拡大しています。重症例では血漿交換療法が考慮されることもあり、病態に応じた個別化治療が重要です。
シェーグレン症候群
シェーグレン症候群は、自己免疫の異常により主に涙腺や唾液腺の機能が低下する自己免疫疾患です。主に中高年の女性に多く見られ、慢性の経過をたどります。乾燥症状が主ですが、進行すると関節、肺、腎臓、神経などの臓器障害を引き起こすこともあります。
症状
代表的な症状は、口や目の乾燥です。涙の分泌が減少し、目の異物感や充血、ドライアイが生じます。唾液腺の機能低下により口腔乾燥(ドライマウス)が進行し、嚥下障害や虫歯、口内炎のリスクが高まります。さらに、皮膚の乾燥、鼻や気道の粘膜乾燥による慢性咳嗽、関節痛、倦怠感などがみられることもあります。重症例では、肺炎、間質性肺炎、腎炎、中枢神経障害などの全身症状を引き起こし、稀に悪性リンパ腫のリスクが増加することが知られています。
原因
シェーグレン症候群の原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因と環境因子が関与していると考えられています。自己抗体(抗SS-A/Ro抗体、抗SS-B/La抗体)が陽性となることが多く、診断の指標となります。
治療法
根本的な治療法はなく、症状の緩和が主な治療目標となります。ドライアイにはヒアルロン酸点眼薬やシクロスポリン点眼薬、ドライマウスには人工唾液やピロカルピンなどの唾液分泌促進薬が使用されます。関節痛や倦怠感にはNSAIDsが用いられることがあります。
強皮症
強皮症は、免疫異常により皮膚や内臓の結合組織が異常に硬化する自己免疫疾患です。皮膚の線維化が特徴で、重症例では肺・心臓・消化管・腎臓などの臓器障害を引き起こします。病型として、皮膚硬化が手指や前腕などに限局する限局型(lcSSc)と、広範囲に皮膚硬化が進行するびまん型(dcSSc)があります。
症状
初期症状として、寒冷刺激により指が白くなるレイノー現象が見られます。皮膚の硬化が進行すると、顔や手指が硬くなり、表情が乏しくなることがあります。皮膚症状以外にも、食道の蠕動低下による嚥下障害、間質性肺炎、肺高血圧症、心筋障害、腎クリーゼ(急性腎不全)などの内臓病変が出現することがあります。特に肺線維症や肺高血圧症は予後に大きく影響します。関節痛や筋炎を合併することもあり、日常生活に支障をきたすことがあります。
原因
強皮症の正確な原因は不明ですが、免疫異常、遺伝的要因、環境因子の複合的な関与が考えられています。抗核抗体として抗Scl-70抗体、抗セントロメア抗体、抗RNAポリメラーゼIII抗体などが診断の指標となります。
治療法
現在、強皮症の根本的な治療法はなく、症状に応じた対症療法が中心となります。
リウマチ性多発筋痛症
リウマチ性多発筋痛症(PMR)は主に50歳以上の高齢者に発症し、肩や腰周囲の筋肉に炎症を引き起こす自己免疫疾患です。関節リウマチとは異なり、関節ではなく筋肉や腱周囲に炎症が生じます。発症は急激なことが多く、全身の痛みやこわばりが主な症状となります。巨細胞性動脈炎(GCA)を合併することがあり、特に頭痛や視力障害が出現した場合は注意が必要です。適切な治療を行えば予後は比較的良好ですが、長期的な管理が求められます。
症状
リウマチ性多発筋痛症の主な症状は、肩や腰回りの筋肉の痛みとこわばりです。特に朝のこわばりが強く、動き始めに支障をきたします。痛みは左右対称に現れ、腕を上げる動作や歩行時に悪化することが多いです。関節そのものに腫れや変形は見られませんが、滑液包や腱の炎症による軽度の腫脹が起こることもあります。また、全身倦怠感、発熱、体重減少などの全身症状を伴うことがあり、日常生活に大きな影響を及ぼします。巨細胞性動脈炎を合併すると、頭痛、顎の疲労感、視力障害、こめかみの痛みなどが出現し、放置すると失明の危険もあります。
原因
リウマチ性多発筋痛症の原因は明確には解明されていませんが、加齢による免疫系の異常が関与していると考えられています。特に自己免疫の異常によって筋膜や腱周囲に炎症が生じ、症状を引き起こすと考えられています。炎症マーカー(CRPや赤血球沈降速度)が上昇することが特徴であり、診断の指標となります。
治療法
リウマチ性多発筋痛症の治療の第一選択は低用量のステロイド(プレドニゾロン)です。通常、10mg/日程度で開始し、症状の改善を見ながら徐々に減量します。ステロイドに対する反応性が良く、治療開始後数日で症状が大幅に改善することが多いです。しかし、長期間の使用により骨粗鬆症や糖尿病のリスクが高まるため、骨吸収抑制薬(ビスホスホネート)を併用します。ステロイド減量が難しい場合は、メトトレキサートなどの免疫抑制薬を併用することもあります。巨細胞性動脈炎を合併している場合は、高用量のステロイドが必要となり、トシリズマブ(IL-6阻害薬)などの生物学的製剤が有効とされています。
ベーチェット病
ベーチェット病は、全身の血管に炎症を引き起こす原因不明の慢性炎症性疾患で、主に口腔粘膜や皮膚、眼、関節、消化管、中枢神経などに症状が現れます。発症年齢は20~40歳が多く、日本や中東、地中海地域に患者が多いことから、遺伝的要因と環境因子が関与していると考えられています。病態としては、再発と寛解を繰り返しながら進行し、特に眼病変(ぶどう膜炎)や中枢神経病変が発症すると視力低下や神経障害を引き起こし、重篤な後遺症を残すことがあります。
症状
ベーチェット病の四大主症状は、①口腔アフタ(口内炎に似た潰瘍が繰り返し発生)、②外陰部潰瘍(男性では陰嚢、女性では外陰部に潰瘍が生じる)、③皮膚症状(結節性紅斑や毛嚢炎様皮疹)、④眼病変(ぶどう膜炎による視力低下や失明のリスク)です。関節炎、腸管病変(腸管ベーチェット)、血管病変(動脈瘤、静脈血栓)、中枢神経病変(意識障害、運動麻痺)などの全身症状も見られ、病型によっては重篤な合併症を伴います。
原因
ベーチェット病の原因は不明ですが、遺伝的要因としてHLA-B51遺伝子との関連が示唆されています。また、細菌やウイルス感染、腸内細菌の異常が免疫系を活性化し、炎症を引き起こす可能性があります。異常な自己免疫反応により血管や粘膜に炎症が生じ、症状が発現すると考えられています。特に、好中球の過剰な活性化が炎症の中心的役割を担っており、この機序を標的とした治療が進められています。
治療法
症状に応じた対症療法が基本となります。コルヒチンは皮膚・関節症状に有効で、副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)は眼病変や血管病変、中枢神経病変の重症例に使用されます。最近では、生物学的製剤(抗TNF-α抗体製剤:インフリキシマブ、アダリムマブ)が難治性の眼病変や腸管病変に対して使用されるようになり、治療成績が向上しています。
多発性筋炎・皮膚筋炎
多発性筋炎(PM)および皮膚筋炎(DM)は、自己免疫疾患の一種で、筋肉の炎症を主とする炎症性筋疾患に分類されます。特に四肢の近位筋(肩や太ももなど)に対称性の筋力低下を生じるのが特徴です。皮膚筋炎ではこれに加え、特有の皮膚症状(ヘリオトロープ疹やゴットロン徴候など)が現れます。男女問わず発症しますが、女性にやや多く、中年以降に多く見られます。また、悪性腫瘍との関連も報告されており、注意が必要な疾患です。
症状
主な症状は、肩や股関節周囲の筋力低下と筋肉の痛み、疲労感です。歩行困難や階段昇降が難しくなることもあります。皮膚筋炎では、まぶたや顔に紫紅色の発疹(ヘリオトロープ疹)、手指の関節周囲に鱗屑を伴う紅斑(ゴットロン徴候)が出現します。全身症状としては発熱、関節痛、間質性肺炎による呼吸困難、嚥下障害なども見られることがあります。進行すると日常生活に支障をきたすほど筋力低下が顕著になります。
原因
原因は明確には解明されていませんが、自己免疫反応が関与していると考えられています。体の免疫システムが誤って自らの筋肉や皮膚の細胞を攻撃することで炎症が起こります。ウイルス感染や薬剤、遺伝的要因が発症の引き金となることもあります。皮膚筋炎では特に悪性腫瘍との関連が知られており、がんに対する免疫応答が筋肉や皮膚に波及している可能性が指摘されています。環境因子と遺伝的素因の相互作用が発症に関わると考えられています。
治療法
治療の基本は、免疫抑制を目的とした薬物療法です。最も一般的なのは副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)で、症状の重症度に応じて投与量を調整します。ステロイドだけで効果が不十分な場合は、免疫抑制薬(メトトレキサートやアザチオプリンなど)を併用することもあります。また、間質性肺炎や悪性腫瘍の合併がある場合は、それに対する治療も並行して行われます。
抗リン脂質抗体症候群
抗リン脂質抗体症候群(APS)は、血液が固まりやすくなる「血栓症」と、妊娠に関連する異常(流産、早産、胎盤機能不全など)を引き起こす自己免疫疾患です。体内に「抗リン脂質抗体」と呼ばれる自己抗体が存在することで、血液の凝固系が異常に活性化され、動脈や静脈に血栓ができやすくなります。単独で発症する「原発性APS」と、全身性エリテマトーデス(SLE)など他の自己免疫疾患に合併する「続発性APS」があります。
症状
代表的な症状は、深部静脈血栓症や肺塞栓症、脳梗塞などの血栓による合併症です。血栓の部位によっては視力障害、皮膚の網状斑、心筋梗塞、腎障害など多彩な症状が現れます。若年での脳梗塞や、原因不明の繰り返す流産・死産も本疾患を疑う手がかりとなります。
原因
原因は自己免疫反応により「抗リン脂質抗体」が産生されることですが、なぜこの抗体ができるのかは完全にはわかっていません。ウイルス感染や遺伝的素因、環境要因が引き金になると考えられています。抗体には「抗カルジオリピン抗体」「ループスアンチコアグラント」「抗β2-グリコプロテインI抗体」などがあり、これらが血液の凝固に関わる細胞や分子に作用して、血栓形成を促進します。
治療法
APSの治療の中心は、血栓を防ぐための抗凝固療法です。再発を防ぐために低用量アスピリンを併用することもあります。
脊椎関節炎
脊椎関節炎は、脊椎や仙腸関節に炎症を引き起こし、関節の痛みや腫れ、最終的には強直(関節が固まる)を伴う疾患群を指します。代表的な疾患には、強直性脊椎炎、乾癬性脊椎炎、反応性脊椎炎、分類不能型脊椎関節炎があります。強直性脊椎炎はHLA-B27遺伝子と関連し、背部や腰部の痛みを伴う炎症性疾患です。乾癬性脊椎炎は乾癬患者さまに発症し、皮膚症状と関節症状が共に現れます。反応性脊椎炎は感染後に発症し、尿道や眼、関節の炎症を伴います。分類不能型は、明確な分類に合致しない脊椎関節炎の症例を指します。
症状
脊椎関節炎の共通の症状には、慢性的な背部痛や腰痛、関節の腫れ、こわばりが含まれます。痛みは通常、安静時に悪化し、活動的な運動で改善します。強直性脊椎炎では、脊椎の可動域制限や朝のこわばりが特徴です。乾癬性脊椎炎では、乾癬に伴う皮膚症状と関節症状が現れ、爪の異常も見られることがあります。反応性脊椎炎では、尿道炎や結膜炎、膝や足首などの関節痛が多くみられます。分類不能型では、これらの症状が明確に特定できないことがあります。
原因
脊椎関節炎の原因は複雑で、遺伝的要因と環境因子が相互作用すると考えられています。特に強直性脊椎炎では、HLA-B27という遺伝子が発症に大きく関与しています。乾癬性脊椎炎は、乾癬という皮膚疾患が引き金となり、免疫系が異常に反応することで発症します。反応性脊椎炎は、細菌感染(特に尿路感染や消化器感染)後に免疫反応として関節に炎症が生じます。分類不能型では、症状や病因が明確に特定できないことが多いため、診断が難しくなります。
治療法
脊椎関節炎の治療には、症状の緩和と病気の進行を抑えるための薬物療法が中心となります。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は痛みや炎症を軽減するために使用されます。また、生物学的製剤(TNF-α阻害薬やIL-17阻害薬など)が進行を抑制し、特に強直性脊椎炎や乾癬性脊椎炎に効果的です。反応性脊椎炎では、感染症の治療後に症状が改善することがあります。理学療法や運動療法は、関節の可動域を保ち、筋力を維持するために重要です。薬物療法と併せて、生活習慣の改善や体重管理も重要な治療方針の一部となります。