2024年03月14日
子宮頸がん予防(HPV)ワクチン「HPVワクチンの副反応」
HPVワクチンの副反応が心配で、ワクチン接種を控えている接種対象者や保護者の方もいるかもしれません。頻度の高い副反応は、注射部位の痛み、腫れ、赤みなどです。重いアレルギー症状や神経系の症状が起こることもありますが、まれなものです。
HPVワクチンは、コロナワクチンと同様に筋肉注射のため、接種を受けた部位の痛みや腫れ、赤みなどの症状が起こることがあります。
痛みは50%以上の頻度で発生するとされていますが、多くの場合は数日程度でおさまります。
2013年に定期接種が始まった頃には、ワクチン接種後に全身の強い痛み、手足の動かしにくさ、不随意運動などの多様な症状が報告されました。
2015年ごろから、厚生労働省の研究班による研究やいわゆる名古屋スタディにおいて、ワクチンの安全性に関する研究が行われてきました。これらの研究により、HPVワクチン未接種者でも接種後に報告されている「多様な症状」が一定の確率で存在することが示され、また、接種群と非接種群で発生頻度に差が見られないことが確認されました。そのため、ワクチンと多様な症状との因果関係については否定的な見解が出されています。
(厚生労働省 HPVワクチンに関するQ&A 問2-15 参照リンク)
また、予防接種ストレス関連反応という概念もWHO(世界保健機関)から発表されています。
これは予防接種のストレスや不安から、ワクチンの種類に関係なく、めまいや失神、接種後に時間が経ってからの脱力、まひ、手足の異常な動き、歩行障害などの症状が確認されています。
こうした症状は、医療者からの事前の丁寧な説明や、痛みへの適切な対処で予防できると考えられています。
子宮頸がんは、20代から30代の出産可能年齢の女性にも多く見られ、「マザーキラー」と呼ばれるがんです。がんの治療によって子宮を失うことや若くして亡くなることもまれではありません。
世界保健機関(WHO)でも、子宮頸がんはHPVワクチンによって予防され、早期発見と効果的な管理が可能ながんの1つとされています。このため、世界各国に対して子宮頸がんの抑制に向けた取り組みが求められています。英国やフィンランドでの研究では、ワクチン導入後に子宮頸がんや前がん病変の明らかな減少が報告されており、オーストラリアでは今後40年以内に子宮頸がんを制御できる可能性が示唆されています。
がんの発症は数十年後になることもあるため、ワクチン接種後すぐに効果が現れるわけではありません。したがって、臨床試験では主に前がん病変であるCINの予防効果が比較されます。現在の研究では、ワクチンに含まれるHPVの型によってCINなどの前がん病変を95%以上予防できることが示されています。
ぜひ前向きに接種をご検討ください。
当院での予防接種はこちら