内科

睡眠時無呼吸症候群(SAS)
どのような病気?
睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)は睡眠に関係する呼吸障害のひとつで、主に睡眠中に空気の通り道である“上気道”が狭くなることによって無呼吸状態(10秒以上呼吸が止まること)と大きないびきを繰り返す病気のことです。
症状は?なにがまずいのか?
睡眠中の無呼吸やいびきによって良質な睡眠が妨げられ、日中の眠気による事故などにつながりやすいことが大きな問題となっています。また、睡眠中に体内の酸素量が不足しがちになることで全身のさまざまな部位に負担をかけ、脳卒中など命に関わる合併症を引き起こしやすくなることも分かっています。
原因は?
主な原因は肥満による喉周りの脂肪ですが、顎が小さい、舌が大きい、扁桃が大きいといった生まれつきの身体的特徴や慢性的な鼻炎など耳鼻科領域の病気が原因となることもあります。
診断は?
いびきについて、耳鼻科的な疾患の有無、日中の眠気などの問診を行い、終夜睡眠ポリグラフィー検査を行います。寝ている間に簡単な機械を装着し、いびきの回数、呼吸が止まっている時間や回数、身体の中の酸素飽和度(SpO2)などを測定します。
治療は?
睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、重症度や基礎疾患に応じて次のような治療が行われます。
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● アデノイド手術
原因となる疾患によっては手術が適応となる場合があります。手術により、根治が可能です。 -
● 経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)
検査の結果、重症度が高い場合で、なおかつ日中に眠気などを自覚しているケースでは、睡眠中にマスクから強制的に空気を送り込んで狭くなった気道を広げる経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)が行われます。この治療を行うことで、心筋梗塞や脳卒中などを発症する危険性を通常と同程度まで低下させることが分かっているため、全国的にも広く行われています。問題点としては、根治資料ではないため、この治療を行っている間は症状が改善されるものの、やめてしまうと元に戻ってしまうことです。 -
● マウスピース装着
顎が小さい、舌が大きいなどの原因で睡眠時無呼吸症候群を発症している場合は、下顎を前方へ移動させるようなマウスピースの装着が行われることがあります。 -
● 生活指導
睡眠時無呼吸症候群の多くは肥満によるものであるため、たとえCPAP療法などを行っていたとしても、減量を目指した食生活の改善や運動習慣の定着などの生活指導が行われるのが一般的です。肥満の改善に伴い、症状が改善した場合には病気が根治し、CPAP療法が不要となることもあります。