内科

バセドウ病
どのような病気?
甲状腺という、のどぼとけの下にあるホルモンを出す臓器があり、この臓器を刺激する抗体(TSH受容体抗体)ができてしまうことが原因となり、甲状腺ホルモンが異常増加し、多彩な症状をきたします。なぜそのような抗体ができるのかはわかっていません。1000人に0.2~3.2人程度の確率で起こり、20~30代の若い女性に多い病気です。男性よりも女性に多くみられる病気です。
症状は?
頻脈からの不整脈や甲状腺の腫れ、手の震え、下痢、体重減少などの症状が多いです。すべての症状が全員で出るわけではありません。足がむくんでいることもあります。眼球突出は有名な症状ですが、それほど多くありません。全身の症状かつ多彩な症状をきたすため、診断がつきにくいことがあります。
診断は?
症状によりある程度疑わしい方に対して、血液検査を施行し、診断となります。
治療は?
診断がついたら、メルカゾール®(MMI)というお薬が第一選択です。初期には多い量を投与しますが、徐々に減量し、通常は維持量で年単位の長期的な治療が必要です。メルカゾール®は効果の高いお薬ですが、胎児奇形の問題があるため妊娠中の方(特に4週~16週)は別のお薬を使います。
メルカゾール®を開始後2か月ほどは無顆粒球症という体の中の白血球の一部がなくなってしまうような副作用が起こる懸念があります。全員に起こるわけではなくむしろまれではあるものの、なってしまうと命の危険もあるため全員に対し2か月ほどは血液検査などのために頻回な受診が必要です。その後は内服薬も安定するため1~3か月に1回程度の通院が必要となります。
注意点として、治療がうまくいけば症状は早期に消失しますが、そこで治療を終了してしまったり内服がおろそかになるとまた元に戻ってしまったり、甲状腺クリーゼ(発熱・頻脈・心不全・けいれんなどの症状がある)という命の危険もある状態に陥ることもあるため、長期的な治療が必ず必要となります。甲状腺ホルモンの正常化と抗TSH受容体抗体(TRAb)の陰性が1年ほど持続した場合が治療終了の一つの目安ですが、個々の状態に応じてのご相談となります。特に妊娠可能な若い女性に多い疾患であるため、妊娠を考える場合などは医師との相談となります。内服薬の副作用としてはほかにも肝機能障害、皮疹、血管炎などがあり、治療開始の際にはご説明します。
内服薬を使う方法が一般的ですが、うまくいかない場合などで放射性ヨウ素を使った治療や手術もあります。これらを実施できる施設は限られます。