内科

痛風(高尿酸血症)

どのような病気?

痛風は、関節の腫れや激しい痛みが起こる病気です。痛風の発症に大きく関連するのが「尿酸値」で、尿酸が基準値にあたる「7.0mg/dL」を超えた状態を「高尿酸血症」といいます。この高尿酸値症の状態が続くと、尿酸が血液中に溶けきれなくなり、関節の中で結晶化します。体内の白血球がこの結晶を異物とみなして攻撃し、その際に炎症が起きると、関節の腫れや激しい痛みを伴います。これを痛風発作といいます。

症状は?なにがまずいのか?

痛風の引き金となる高尿酸血症は男性に多く、尿酸値が上がれば上がるほど、痛風が起こる確率は高くなります。とくに暑い時期は、汗をかくと尿酸の濃度が高くなり、痛風発作を引き起こすリスクが高まります。慢性痛風期の段階へと進行すると常に痛みがあるようになります。また、痛風結節とよばれる尿酸塩を中心とした肉芽組織(コブ)ができるようになります。さらに注意が必要なのが、痛風が慢性化することによって起こる合併症です。『痛風腎』『高血圧症』『脂質異常症』など、これらの合併症が起こる頃には、体内の尿酸値が異常に高くなっており、健康な人の正常値と比べて数倍〜数十倍もの値になっていることもあります。

痛風の前触れと発作症状

痛風(痛風発作)は何の前触れもなく、突然発症することが多いとされていますが、実際には前触れがあり痛風発作が起きる部分に『チクチク』『ピリピリ』『ムズムズ』といった痛みや違和感のようなもの、あるいは『鈍痛(重苦しいにぶい痛み)』『こわばり』『ほてり』のようなものを感じます。ただし、発作に発展しないケースも少なくありません。痛風発作が起こると『激しい痛み』『赤く腫れあがる』といった症状が現れます。ひどい痛みのために、靴もはけず、寝るときに足に布団がかけられないほど激痛を経験される方もいらっしゃいます。尿酸値をコントロールして、痛風の治療を進めるとともに、肥満を解消しながら脂質異常症や高血圧症などの治療も合わせて実施することが重要です。

原因は?

発症にはさまざまな要因が考えられます。

● 遺伝子要因
● 肥満
● お酒の飲み過ぎ
● プリン体・果糖の摂り過ぎ

など、主に生活習慣が深く関わっています。

治療は?

痛風の治療には安静、アイシング、患部挙上といった対処法と薬物療法があります。

どんなお薬があるの?

  • NSAIDs
    (ロキソニン®、ボルタレン®など)

    NSAIDs(エヌセイズ)は炎症を抑える薬の一つです。NSAIDsは痛風発作の関節の炎症や痛みを和らげる目的で使われます。薬の効果の発現は早く、内服して数十分程度で痛みの軽減を期待できます。NSAIDsは痛風発作が起きた時に第一選択薬として使われます。NSAIDsの注意すべき副作用には消化性潰瘍や腎機能障害があります。消化性潰瘍は胃や十二指腸にでき、腹痛や黒い便(黒色便)が現れます。もし、NSAIDsを内服していて、体調の変化を自覚する場合は、担当の医師や薬剤師に相談するようにしてください。
  • ステロイド
    ステロイドは身体の中の副腎という場所から分泌されるコルチゾールというホルモンを治療薬に応用したものです。コルチゾールは炎症を抑える作用があるホルモンであり、ステロイドにも同様の炎症を抑える作用があります。そのため、痛風発作が起きた時に関節の炎症や痛みを和らげる目的で使うことができます。ステロイドには内服薬(飲み薬)、点滴薬、外用薬(塗り薬など)などがあります。この中で痛風の治療にはステロイドの内服薬をよく使います。ステロイドには種類がいくつかありますが、痛風にはプレドニゾロンという種類のものが使われることが多いです。
  • コルヒチン
    コルヒチンは痛風発作の前触れの症状を感じた人や発作を繰り返している人で、発作の予防目的に用いられる薬です。痛風発作は関節にできた尿酸の結晶を白血球が異物と認識し、攻撃することで起こります。コルヒチンはこの白血球が関節に集まるのを抑えます。痛風発作の前触れの症状には関節の違和感やピリピリした感じがあります。コルヒチンはこの前触れの段階で内服することで、痛風の発作を予防することができます。また痛風発作を繰り返している人では発作を予防するために少量のコルヒチンを数ヶ月間飲み続けることもあります。コルヒチンの副作用には消化器障害(下痢、嘔吐)や肝機能障害などがあります。コルヒチンを内服し始めて下痢や嘔吐、倦怠感などがある場合には担当の医師、薬剤師に相談するようにしてください。
  • 漢方薬
    痛風発作時に使われる漢方薬には越婢加朮湯(エッピカジュツトウ)や麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)などがあります。越婢加朮湯、麻杏甘石湯には石膏(セッコウ)や麻黄(マオウ)などの成分が含まれています。石膏(セッコウ)には熱を和らげる作用があり、麻黄(マオウ)には関節痛を和らげる作用があります。一般的に安全性が高いとされる漢方薬も「薬」の一つですので、漢方薬を服用することによってもしも気になる症状があらわれた場合は自己判断で薬を中止せず、医師や薬剤師に相談することが大切です。