内科

逆流性食道炎
どのような病気?
胃の中の胃酸などが食道に逆流して炎症を起こす病気です。胃は胃酸を分泌する組織であるため胃酸の強い刺激に耐えうる壁がもともとありますが、食道には本来胃酸が ないため胃酸が入ってくると壁は傷ついてしまいます。食べ物を飲み込む時以外でも食道と胃の間の筋肉(下部食道括約筋)が何らかの原因で緩み、胃酸が食道へ逆流することで食道に炎症を引き起こす病気です。
症状は?なにがまずいのか?
胸焼けや酸っぱい味がするといった症状が典型的ですが、長引く咳で実は逆流性食道炎が原因だったということも多いです。そのほか胸部の痛み、喉の痛み、嚥下困難、声のかすれなどを引き起こすことがあります。これらの症状は特に胃酸が多くなる食後や姿勢的に逆流が起こりやすい夜間に悪化する傾向があります。そのままにしておくと炎症が長期間持続し、食道がんのリスクが高まります。
原因は?
加齢で食道と胃のつなぎ目の筋肉の締りが悪くなることが一番多い原因です。そのほか食道裂孔ヘルニアといって、胃がやや胸部側に飛び出してしまうと横隔膜の締め付 けもなくなり食道と胃のつなぎ目が緩くなります。この場合には内服だけで逆流を直すのは困難です。そのほかアルコール、高タンパク食、高脂肪食、コーヒーなども胃酸分泌を亢進すると言われていて原因の一つと考えられます。
治療は?
内服で治療をすることが可能です。胃酸分泌を亢進するようなライフスタイルの見直し、減量、禁煙も症状改善のためにお勧めです。
どんなお薬があるの?
PPI(タケプロン®、パリエット®、ネキシウム®など)胃酸の分泌を抑える薬で、逆流性食道炎の治療に広く使用されます。ヘリコバクターピロリ除菌の治療薬としても使われるため、ピロリ菌検査を控えている場合や内視鏡検査前はあえて処方しないこともあります。P-CAB(タケキャブ®)新しいタイプの胃酸分泌抑制薬で、効果的に胃酸を抑えます。PPIよりも効果が高いですが、用量によっては処方期間に制限があります。H2-blocker(ガスター®など)古くから使われている胃酸の分泌を抑える薬です。効果はPPI、P-CABよりも劣るのですが、症状がそれほど強くない場合やピロリ検査を控えている場合などはこちらを用いることがあります。