内科

糖尿病

どのような病気?

糖尿病は膵臓から出る糖分を吸収するホルモンであるインスリンが出なくなってしまう1型糖尿病と2型糖尿病があります。1型糖尿病は若い頃に発症されることが多く、生活習慣とは無関係に起こります。2型糖尿病は生活習慣が主に原因となって発症し、インスリンが出にくくなったり、効果を示しにくくなったりすることが原因で様々な臓器の異常が起こる病気です。2型糖尿病として診断され、次第に1型糖尿病様の病態となる場合(緩徐進行型1型糖尿病)もあります。

症状は?なにがまずいのか?

軽症の場合には無症状です。血糖値が高い状態が長く続いている場合、口渇・多飲・多尿といった症状が一般的です。基本的には慢性的な病気ですが、急激な血糖値上昇や脱水に伴って意識障害など急な変化を起こすこともあります。血糖値が高いと糖毒性といってそれだけでインスリン分泌が少なくなったり、インスリンの働きが悪くなります。そのせいでますます高血糖になるという悪循環が起こります。
また高血糖に伴って血管の障害が起こります。大きい血管の障害として心血管障害(心筋梗塞など)や脳血管障害(脳卒中など)のリスクが高くなります。これらはいつ起こるか予想ができませんし、発症後早い段階で起こってくることもあります。
次に細かい血管の障害として有名なものが神経(手足の感覚が鈍る)、網膜症(眼が見えなくなる)、腎機能の低下の3つです。一般的に糖尿病の合併症として非常に有名なものです。手足の感覚が鈍ることそのものは命には関わりにくいですが、しびれなどがあると生活の質が落ちますし、感覚が鈍ってやけどやケガに気づかず感染症の原因となることがあります。また腎機能が低下するとお薬が使いにくくなったり場合によっては透析しなくてはならなくなります。
これらの細かい血管の障害は高血糖状態が続くようになってから10年後以降で徐々に出現します。「糖尿病が見つかってから10年」ではないことに注意です。長期間放置している場合などは見つかった時すでに出現しているケースもあります。もちろん適切な治療を受け、血糖コントロールが良い場合に生涯発症しない方も珍しくありません。

原因は?

1型の場合には食生活とは無関係に発症します。薬剤などが原因での1型糖尿病もあります。2型の場合には長年にわたる食生活や肥満が原因となっていることが多いです。2型の場合もそれだけではなく、遺伝的な素因などはあると考えられています。

治療は?

1型糖尿病や2型糖尿病でインスリンが不足している状態の方はインスリン注射を行います。血糖値を毎日測定し、腹部に毎日ご自身で注射をします。内服薬を追加する場合もあります。2型糖尿病ではまずは生活習慣の改善・運動・減量・禁煙指導などを行いますが、それだけでは改善が乏しい場合には血糖値やHbA1cという値をもとに内服薬を調整していきます。

どんなお薬があるの?

お薬は近年多くのものが発売されており、種類が豊富です。下記に記載のもの以外にも多数あります。複数のものを組み合わせて治療することもあります。また、インスリン注射や合剤もあります。

  • (1) ビグアナイト
    (メトグルコ®など)

    糖の取り込みを調整する作用があり、昔から広く使われているお薬です。最初に使われることも多い薬です。腎機能が悪い場合には使えないことがあります。
  • (2)DPP-4阻害薬
    (エクア®、テネリア®、グラクティブ®など)

    血糖依存性にインスリンの分泌を促進する作用があります。単独使用の場合に低血糖のリスクが低く食後血糖改善効果が高い、1日1回の製剤が多く内服しやすいなどから広く使われています。腎機能が悪い場合には調整して使います。
  • (3)GLP-1受容体作動薬
    (トルリシティ®、オゼンピック®、マンジャロ®、リベルサス®など)

    DPP-4阻害薬と同一の機序ですが、体重減少効果があります。注射製剤が多く、週1回など間隔をあけての投与となります。
  • (4)SGLT2阻害薬
    (スーグラ®、フォシーガ®、ジャディアンス®、ルセフィ®など)

    腎臓で糖を排出し、血糖値を改善するとともに、体重減少効果もあります。心血管や腎臓イベントの抑制効果もあり、慢性心不全や慢性腎臓病の方に使われることもある薬です。