内科
気管支喘息/COPD
どのような病気?
気管支喘息は主にアレルギーによって空気の通り道(気道、気管支)に慢性的な炎症が起き、気道が狭くなることで咳が出る、息苦しいなどの症状が出る病気です。
小児喘息は乳幼児期に80%程度が発症、原因はアレルギー(アトピー型)が大半を占めます。また成長に伴い寛解することが多いです。これに比べおとなの喘息はアレルギー性もありますが、非アレルギー性が多くタバコや職場環境が原因などの場合もあります。なかなか良くならず、うまく付き合っていかねばならないケースも多いです。40~60代で初めて罹患することも珍しくありません。治療や症状は小児喘息と共通するところが多いです。小児喘息があり、寛解に至らなかったケースや一度寛解したがまた症状が出てきているケースも同様にうまく付き合っていく必要があります。
COPDという疾患も長年の喫煙や加齢などを原因として空気の通り道が固くなって弾力を失うことで呼吸がしにくくなる病気です。症状や治療が共通するため、喘息と一緒に語られることが多いですが、COPDは高齢者を中心に起こり、アレルギーとは異なります。ただ治療は共通していることも多いです。ACO(オーバーラップ症候群)といい、喘息とCOPDを合併した病態もあります。
症状は?何がまずいの?
喘息発作といって、ヒューヒューした呼吸音(喘鳴:ぜんめい)がして、息苦しくなる症状が有名で、非常に重症な場合には呼吸不全となり死に至ることもあります。しかし喘鳴はあくまで症状の一つにすぎません。ただの長引く咳だと思っていたという方も多く、自覚がない方も多いですが、喘鳴がなく咳がひどくなることも発作の一つの形態です。咳は喘息の主な症状の一つであり、喘息の治療をしている方で咳がひどくなってきた場合は喘息の悪化を第一に考えます。ただ、咳がひどい状態がすべて喘息の悪化というわけではないため、咳が出ているから喘息ではないか?というのは必ずしも正しくありません。
そのほか息切れや息苦しさも症状の一つですが、非常に軽度であるため気づきにくい方も多くいらっしゃいます。
発作や悪化の原因と呼吸器感染症
風邪などの気道感染症で喀痰が増え、症状がひどくなることが多いです。
「慢性」の気道炎症というのは常にちょっと気道が傷ついた状態ということであり、吸い込んだ空気と一緒にウイルスも入ってきますので、ウイルスも侵入しやすいです。つまり喘息を適切にコントロールできていないと、風邪などの感染症にもかかりやすくなります。また全員ではありませんが、喘息があると息苦しい症状によって寝苦しくなり実は睡眠不足になっているために抵抗力が下がり風邪をひきやすいこともあるようです。
息苦しいと思っていなかったが、治療を始めたら、自分が今まで息苦しかったことに気付いたという方もいらっしゃいます。
喫煙、ホコリ、ストレスも症状悪化の一因となります。寒暖の差による刺激や持久力を必要とするような運動(マラソン、サッカー、バスケットボールなど)が発作を誘発することもあります。人によってはNSAIDs(解熱鎮痛薬、ロキソニン®など)で発作が誘発されることもあります。
喘息発作によくないからといってこれらを絶対やめなくてはいけないかというとそのようなことはありません。喘息があっても治療をしながら運動されている方も多くいらっしゃいます。喘息は長期の治療が必要な疾患です。当クリニックでは個人の喘息の状態やライフスタイルをお伺いし、個人の価値観に寄り添った治療をご提案しています。
ただ、喫煙は喘息やCOPDにとって絶対的に悪化要因となるため、禁煙をお勧めいたします。ご自身の意志のみでは難しいというのも当然ですので、禁煙外来もぜひご利用ください。当クリニックでも受け付けております。
診断は?
スパイロメトリー(呼吸機能検査)といい、息を指示に従って吸ったり吐いたりする器械を使って一気にどのくらいの量の息を吐けるか、値を計測して診断をつけます。
お子さんなど検査が難しい方やより簡便な検査としてピークフローという検査もあります。これらの検査は検査者(検査を介助する人)によっても値が前後することが知られており、値だけではグレーゾーンになってしまうことや時に悪く出すぎてしまうこともあります。
近年では呼気NO検査という検査もあり、簡便に診断することができ、有用です。しかし呼吸機能検査だけでは評価が難しいのも事実であり、ある程度臨床症状をお伺いしつつ検査も見ながら診断をつけ、必要に応じて治療をお勧めする場合もあります。
喘息は長期的かつ継続的な治療が必要ということもあり、一度しっかりとした診断をつけたいという方もいらっしゃると思います。そのような方には、薬剤を使ったより専門的な検査など専門機関をお勧めすることもあります。
治療は?
発作時と非発作時で治療は異なります。非発作時の自覚症状は乏しいのですが、炎症はずっとくすぶっているため、治療を継続することが必要です。
発作時にひとまず気道を広げて呼吸を楽にするような薬をリリーバーと呼び、非発作時に気道の慢性炎症を落ち着けるような薬をコントローラーと呼びます。
ハウスダストなどアレルゲンがわかっている場合にはできるだけアレルゲンを生活環境から排除することも一定の効果はあります。
どんな薬があるの?
コントローラー(非発作時)
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● ロイコトリエン受容体拮抗薬/LTRA(シングレア®、キプレス®、オノン®など)
体内のアレルギー反応を抑え、喘息による咳の発作などを起こりにくくする薬です。即効性はないため、長期のコントローラーとして使われます。内服が基本であり、1日1回で副作用もあまりないため、よく使われています。妊娠中や授乳中でも使うことができます。 -
● ステロイド吸入薬/ICS(フルタイド®、キュバール®、パルミコート®、オスベルコ®、アズマネックス®、アニュイティ®)
即効性は乏しいため、コントローラーとしての利用に限られますがステロイドによる抗炎症効果で、気道炎症を落ち着ける作用があります。吸入で使うものですので、ステロイド内服の副作用とは異なりますが、副作用として嗄声やうがい不十分による咽頭カンジダなどがあります。
製剤により吸入デバイスや細かい粉を吸い込むタイプ(DPI)なのかエアロゾルタイプ(pMDI)なのか等かなりの種類の剤型があり、1日の使用回数も違いがあります、カウンターの使いやすさや味など細かな違いがありますので、ぜひご相談ください。
お子さんには年齢的に可能な場合には大人と同じデバイスを用いますが、難しい場合にはネブライザーという小さな機械を使って吸入します。クリニックで行うこともありますが日常的に使用する場合には購入をお勧めいたします。 -
● ステロイド吸入薬+β刺激配合剤/ICS+LABA(アドエア®、シムビコート®、レルベア®、フルティフォーム®、アテキュラ®)
基本的にはコントローラーとして使う薬剤となりますが、症状が強いときに増量できるものや発作時に追加して使うことができるものもあります。炎症を落ち着け、気道を広げる効果があります。これも吸入で使うお薬であり、製剤により吸入デバイスや細かい粉を吸い込むタイプ(DPI)なのかエアロゾルタイプ(pMDI)なのか等かなりの種類の剤型があり、1日の使用回数も違いがありますので、ぜひご相談ください。 -
● ステロイド吸入薬+β刺激+抗コリン配合剤/ICS+LABA+LAMA(テリルジー®、ビレーズトリ®、エナジア®)
ICS+LABAでコントロールが不十分な方などで抗コリン薬を追加した吸入を用いることがあります。COPDを合併している高齢者の方にはステロイド(ICS)や長期管理型β刺激薬(LABA)よりも抗コリン薬(LAMA)の方が第一選択となることが多く、ACO(オーバーラップ症候群)のような病態の方でより効果が期待できます。 -
● テオフィリン製剤(テオドール®、テオロング®、ネオフィリン®など)
気管支の拡張や呼吸中枢の刺激作用などにより症状を改善する薬です。古くから使われていますが動悸などの副作用も多く、近年では用いられることは少なくなってきています。 -
● 抗ヒスタミン薬(ザイザル®、ビラノア®、アレロック®、デザレックス®、ルパフィン®など)
神経伝達物質ヒスタミンの働きを抑えることでアレルギー反応を抑え蕁麻疹、花粉症、鼻炎(くしゃみや鼻みずなど)、咳などの症状を改善する薬です。喘息そのものの薬ではありませんが、主に花粉症やアレルギー性鼻炎を合併している方はその症状が喘息にも関連することがあるため、合併している方は処方することがあります。
リリーバー(発作時)
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● 短時間β刺激薬/SABA(メプチンエアー®、サルタノールインヘラー®など)
呼吸の苦しさを改善してくれる吸入薬で、即効性がありますので発作の際に用いますが、一時しのぎであり発作がおさまってからはコントローラーによる治療が必要です。 -
● 経口ステロイド(プレドニゾロン®、リンデロンシロップ®など)
ステロイドは炎症を鎮める効果があり、発作の際に気管支を広げる治療をするとともに、ステロイドを用いることがあります。一時をしのぐために用いますが、長期間内服を続けると副作用もありますので、発作が落ち着いた場合にはやはりコントローラーを用います。