病気とケアの基礎知識
インフルエンザ
インフルエンザの理解を深め、正しい知識と予防法を知っておきましょう。ご自身やご家族の症状について心配や疑問を持たれた場合には、ご自身で判断されずに早めに医師にご相談ください。
インフルエンザとは?
インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられます。「かぜ」もウイルス感染で似たような症状がありますが、インフルエンザは症状が重くなりやすい病気として一般的には「かぜ」と「インフルエンザ」はわけて考えます。
新型インフルエンザや
鳥インフルエンザなどとの違いは?
一般に通常の流行するインフルエンザを「季節性インフルエンザ」と呼んでいます。その他に、「新型インフルエンザ」や「鳥インフルエンザ」が知られています。
●新型インフルエンザ
季節性インフルエンザとは異なるウイルスであり私たちが一般には免疫をもっていないタイプの抗原を有することから急速な病気の蔓延が心配される病気のことを指します。
●鳥インフルエンザ
家きん類(にわとりなどの飼育されている鳥)に対して病原性を示すインフルエンザウイルスの一種で一般には人には感染しませんが、より強いタイプの鳥インフルエンザ(高病原性鳥インフルエンザウイルス)は人へも感染をおこす場合があります。死んだ鳥などへの接触により感染する可能性があります。
インフルエンザの流行時期はいつ?
毎年11月くらいから4月くらいまでインフルエンザが発生し、特に冬の時期を中心に流行します。
インフルエンザの予防について
予防接種とともに、日常生活の中でもしっかり予防しましょう。
インフルエンザワクチンの予防接種には、発症を抑える効果や、重症化を予防する効果が知られています。特にご高齢の方やお病気をもっている方には予防接種の実施が勧められます。インフルエンザワクチンはその年に流行が予想されるウイルスのタイプを国立感染症研究所が選んでワクチンを製造します。そのため、ワクチンによるインフルエンザ予防については毎年予防接種を行います
インフルエンザが他の人に伝染る経路には、咳などによりウイルスが飛んで吸入してしまうような飛沫(ひまつ)感染とドアやテーブルなどの物にくっついているウイルスを触ってその手で口をさわってしまって流入する接触感染があります。そのため、マスクの着用や手洗いをしっかりすることが感染対策として非常に重要です。マスクはコンビニなどで販売している種類のもので大丈夫です。
この症状もしかして…と不安な時は、
早めに受診してください
インフルエンザを疑う症状
一般にインフルエンザを臨床的に診断するときの症状としては、下記の症状があります。
特に、高熱が出て、かぜよりも長く発熱することが多いです。
- 突然の発症
- 高熱
- 上気道症状(咳、鼻汁、喉の痛みなど)
- 全身倦怠感等の全身症状
インフルエンザの検査
インフルエンザの検査は迅速抗原検査といって、ウイルスや細菌が付着しやすい鼻やのどの奥を細い綿棒でぬぐうといった手順で行います。短時間にウイルスや細菌を見つける検査です。当院では、インフルエンザウイルス検出分析装置を用いていますので、従来の簡易検査法に比べると感度が良く検査ができます。このため、発症から比較的早い時期に陽性判定ができます。検査時間は検体を機械に入れてから3分半~15分で判定結果がでてきます。
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富士ドライケムIMMUNO AG1
(インフルエンザ診断) -
インフルエンザ検査器具
インフルエンザの経過と対応
インフルエンザウイルスに感染した場合、約1~3日の潜伏期間の後、インフルエンザを発症します。健常な方の場合、通常は10日前後で症状が落ち着き治癒します。
インフルエンザの治療薬
インフルエンザの診断を受けた場合にはインフルエンザに対する抗ウイルス薬を処方します。
薬品名 |
一般的な用法 |
副作用 |
|---|---|---|
| タミフル® | 1日2回、5日間 | アレルギー・肝障害・発疹など |
| リレンザ® | 吸入、1日2回、5日間 | アレルギー・発疹など |
| イナビル® | 吸入、1回 | アレルギー・胃腸炎など |
| ラピアクタ® | 点滴、1回 | アレルギー・肝障害・下痢など |
| ゾフルーザ® | 1回のみ、内服 | 下痢・肝障害など |
症状への対応をして、
しっかりと体を休めて養生しましょう
1) 症状緩和の治療:症状を和らげる薬を処方します。
発熱や痛み:解熱鎮痛薬アセトアミノフェン(カロナール®)など
せき・たん:鎮咳薬や去痰薬
2) 養生:しっかと休養をとり、水分・栄養の補給をおこなってください 。
学校や職場へはいつから行っていいの?
●学校の場合
インフルエンザになった場合には、学校保健安全法第19条に基づき学校を休んだ日は出席停止の扱いとなります。「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで」が出席停止の期間です。
● 会社(職場)の場合
学校のような法律による規定はありません。インフルエンザになった場合には勤め先の会社にご相談ください。会社等で就業規則に取り決めがない場合は、嘱託医や受診した医師の意見を参考にして、職場の管理者が判断することになります。
インフルエンザ感染の予防を目的として接種されるワクチン。このワクチンの接種により、インフルエンザに対する抗体ができ、かかりにくくなります。
インフルエンザワクチンとは?
インフルエンザワクチンとは予防接種のひとつで、冬季を中心に流行する季節性インフルエンザを予防するためにインフルエンザに対する免疫をつけるための薬(ワクチン)です。ワクチンには不活化ワクチンと生ワクチンがありますが、インフルエンザワクチンは不活化ワクチンに分類されます。
インフルエンザワクチンで
どのように予防できる?
インフルエンザワクチンを打つと体の中の免疫反応がおこり、1~2週くらいでインフルエンザに予防するための抗体(こうたい)ができてきます。おおよそ1ヶ月くらい経過すると十分な抗体価となりインフルエンザに対する免疫力が高まります。
そのため、インフルエンザワクチンは流行期の1ヶ月前(11〜12月)くらいには接種が完了しているとよいです。
インフルエンザワクチンの対象となる方
一般に、予防接種では定期接種と任意接種というワクチン接種の方法があります。
定期接種
定期接種とは「予防接種法」に基づいて定期にインフルエンザの予防接種を行う方法で一部自己負担がありますが公費により負担されます(注1)。感染すると重症化が心配され接種することの利益が大きいと考えられる以下の方が対象となります。
(1) 65歳以上の方
(2) 60~64歳で、心臓、じん臓若しくは呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活を極度に制限される方、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方(概ね、身体障害者障害程度等級1級に相当します)
注1: 平成30年度の戸田市高齢者インフルエンザ定期接種の自己負担は1,500円で、生活保護受給者の方、中国残留邦人等支援給付受給者の方、市民税非課税世帯の方は無料です。
任意接種
定期接種の条件に該当しない方の場合には、任意接種となります。こちらは原則的に自己負担となります。
インフルエンザワクチンを
打てないのはどんな場合?
- 明らかに発熱している場合
- 重篤な急性疾患にかかっている人
- 過去にインフルエンザワクチンに含まれている成分でアナフィラキシーをおこしたことがある
- 上記以外に医師が予防接種を行うことが不適当な状態にあると判断した人
インフルエンザの接種スケジュール
大人に比べ、子どもは抗体がつきにくいので、小学生以下の子どもたちは2回接種が推奨されています。インフルエンザの流行の時期に合わせ、スケジュールを立てて接種しましょう。
年齢 |
1回の接種量 |
接種回数 |
|---|---|---|
| 1歳〜3歳未満 | 0.25ml | 2~4週間の間隔をおいて2回接種 |
| 3歳〜13歳未満 | 0.5ml | 2~4週間の間隔をおいて2回接種 |
| 13歳以上 | 0.5ml | 1回接種または1~4週間の間隔をおいて 2回接種 |
インフルエンザワクチンの副反応
インフルエンザワクチンの接種でよくみられる副反応は、接種した場所(局所)の赤み、はれ、痛み等が10~20%の方に起こりますが、通常2~3日でなくなります。また、全身の反応は、発熱、頭痛、さむけ、だるさなどが5~10%の方に起こり、こちらも通常2~3日でなくなります。まれに、ショック・アナフィラキシー様症状(発疹、じんましん、赤み、掻痒感、呼吸困難等)が起きる場合がありますので接種したあと30分程度は医療機関内で安静にしておくのがよいです。
インフルエンザワクチンでインフルエンザが発症するかというご質問をうけることがありますが、インフルエンザワクチンは不活化ワクチンですのでその心配はありません。
もしも、インフルエンザワクチンの接種で
著しい健康被害を受けた場合には
(定期接種の場合)
● 予防接種健康被害救済制度
(任意接種の場合)
● 医薬品副作用被害救済制度
https://www.pmda.go.jp/relief-services/adr-sufferers/0001.html
● 生物由来製品感染等被害救済制度
https://www.pmda.go.jp/relief-services/infections/0001.html
などの制度がありますのでご参照ください。
がん患者さんのインフルエンザ
ワクチン接種について
がん患者さんはインフルエンザに罹患した際に重症化することが心配されます。海外からの報告ではがん患者さんの約10%の方がインフルエンザによりおなくなりになったり、20-30%の方が肺炎などを合併したとの報告があります[文献1-3]。
そのため、海外の感染症予防に関するガイドラインでは成人のがん患者さんで薬物療法を受けている患者さん、ご家族、家庭内で接触する人々、ケアの提供者には毎年のインフルエンザワクチンの接種を勧めるとされています[文献4]。
抗がん剤治療中のがん患者さんはどのタイミングでインフルエンザワクチンを打ったほうがよいかということは定まっていませんが、免疫反応の状況からは抗がん剤のサイクル間での接種がよく、サイクル中の抗がん剤投与日から7日目以降で次サイクル開始前2週前くらいが目安になるとされています。
参考文献
1. Cooksley CD, Avritscher EB, Bekele BN et al. Epidemiology and outcomes of serious influenza-related infections in the cancer population. Cancer. 2005 Aug 1;104(3):618-28.
2. Chemaly RF, Vigil KJ, Saad M et al. A multicenter study of pandemic influenza A (H1N1) infection in patients with solid tumors in 3 countries: early therapy improves outcomes. Cancer. 2012 Sep 15;118(18):4627-33.
3. Hermann B, Lehners N, Brodhun M et al. Influenza virus infections in patients with malignancies -- characteristics and outcome of the season 2014/15. A survey conducted by the Infectious Diseases Working Party (AGIHO) of the German Society of Haematology and Medical Oncology (DGHO). Eur J Clin Microbiol Infect Dis. 2017 Mar;36(3):565-573.
4. Taplitz RA, Kennedy EB, Bow EJ et al. Antimicrobial Prophylaxis for Adult Patients With Cancer-Related Immunosuppression: ASCO and IDSA Clinical Practice Guideline Update. J Clin Oncol. 2018 Sep 4:JCO1800374. doi: 10.1200/JCO.18.00374. [Epub ahead of print]
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