外来
がんと糖尿病
がんと糖尿病、どちらにも寄り添える
チーム医療に取り組んでいます
「がん」と「糖尿病」の治療を、どちらかに偏るのではなく、どちらにも寄り添い適切に行うために。当院では、チーム医療で治療に取り組む体制を作っています。
偏りのない適切な治療を、しっかりと行うために
「がん」を抱える「糖尿病」患者さま、そして「糖尿病」を抱える「がん」患者さま。どちらも同じ病態であるにもかかわらず、受診する専門の診療科が異なるとケアのしかたが変わってしまいます。
例えば、がん専門医は“がん”へ、糖尿病専門医は“糖尿病”にばかり目がいってしまいます。しかし、患者さまにとってはどちらもしっかりと治療したいと思われると思いますし、それぞれの治療にあたってモレなく、重複させることなく適切に行うのが理想的です。
がん患者さまの場合は、“がん”の診療は大きな病院で行っていて、糖尿病は地元の病院やクリニックでおこなっているという方も多いと思います。しかし、医療機関が離れている場合や専門医同士のコミュニケーションが十分にとれていないとタイミングよく適切な治療やケアをおこなっていくことが難しい場合もあります。
このたび当院では、「がんと糖尿病センター」を立ち上げ、がんと糖尿病の診療が外来・入院・オンライン・訪問診療などすべての診療局面において、がん患者さまや糖尿病を抱える患者さまに最適化した医療を提供できるように院内のがんと糖尿病に関するヘルスケアプロフェッショナルの人員・経験・知識を結集してチーム医療で取り組む体制を作ることとしました。
当院の診療体制と特徴について
当院では、がん専門医・内科専門医・糖尿病専門医とがん看護・地域糖尿病療養士(CDEL※)が共同して診療にあたります。外来では、水曜日と木曜日の午後にがん専門医と糖尿病専門医が隣り合った診療ブースで診察する「がんと糖尿病」のセンター方式の外来を行います。必要に応じてどちらの専門医も対応できるようになっています。入院中はがん・糖尿病の各専門医がチーム診療を行います。
| 曜日 | 水 |
木 |
|---|---|---|
| 午前 | – |
– |
| 午後 | がん/糖尿病 |
がん/糖尿病 |
※地域糖尿病療養士(CDEL)とは
当院では看護師・薬剤師・管理栄養士からなる地域糖尿病療養士(CDEL)が10名以上在籍しています。CDELとは、患者さまやご家族さまへ糖尿病の予防や治療についての知識の普及や生活での注意点などについての指導を行うことを目的としたスタッフです。CDELは糖尿病に関する研修をうけ公益財団法人日本糖尿病協会より認定を受けています。
※水・木の午後の診療のみとなります。
なぜ、がんと糖尿病なのか?
「がん」と「糖尿病」は一見なにも関係ないようにみえますし、実際に全く異なる病気です。しかし、最近の研究によって「がん」と「糖尿病」が深い関係にあることがわかってきました。
2013年に日本糖尿病学会と日本癌学会の専門家による合同委員会は、一般の患者さま向けに以下のような提言を行っています。
- 糖尿病(主に2型糖尿病)は、日本人では大腸がん、肝臓がん、膵臓がんのリスク増加と関連しています。他の種類のがんについては一定の結論が得られていません。
- 健康的な食事、運動、体重コントロール、禁煙、節酒は2型糖尿病および、がんの予防につながる可能性があり、行うことが勧められます。
- 食事療法、運動療法、禁煙、節酒は,糖尿病の人にとってもがんの予防につながる可能性があります。
- 糖尿病の人は性別・年齢に応じて適切に、科学的に根拠のあるがん検診を受診することが推奨されます。
- 糖尿病で肝炎ウィルスが陽性の場合には、医療機関を受診して肝臓がんのスクリーニングを受けることが推奨されます。
- 特定の糖尿病治療薬とがんとの関係については、現時点でははっきりした結論は得られていません。医師の指示に従って,良好な血糖コントロールを維持することが大切です。
糖尿病と癌に関する委員会報告、糖尿病 56(6):374〜390,2013
なぜ糖尿病だとがんのリスクが高まるのか?
すこし難しい話になりますが、なぜ糖尿病ががんと関係するかということについてはいくつかの説明があります[文献1]。
糖尿病による体の内部の変化
- インスリン抵抗性や高インスリン血症
- 高血糖状態
- 慢性炎症やアディポサイトカインの異常
がんと糖尿病に共通する生活習慣
加齢、男性、 肥満、低身体活動量不適切な食事(赤肉・加工肉の摂取過剰、野菜・果物・食物繊維の摂取不足など)過剰飲酒や喫煙
がんと糖尿病の合併について
国内外から糖尿病をもつ患者さんにおいてがんの発生が多いことが報告されてきています。また、国内のデータでは糖尿病患者さんの死亡原因は脳や心臓の血管病が多かったのですが、近年は死亡原因の一番が“がん”になっていておおよそ1/3人以上の糖尿病患者さんが”がん”で命を落としていると報告されています※1。
一方、がん治療を行っているがん患者さんで糖尿病を合併する場合もがんの治療成績や予後に負の影響を与えることが示されています※2。


糖尿病の死亡原因([文献1]より作成)
参考文献
※1:糖尿病と癌に関する委員会報告、糖尿病 56(6):374~390,2013
※2:JAMA 300: 2754-2764, 2008
がんと糖尿病から体を守るために
がんと糖尿病の両方に影響を与える生活習慣を改善していきましょう
食事・栄養の指導、肥満をふせぐダイエット(減量)の教育など当院のチームと取り組んでいきましょう。
科学的に根拠のあるがん検診を受けましょう
当院では、肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん検診を実施しています。
| がんの種類 | 検診方法(推薦) | 対象 | 間隔 |
|---|---|---|---|
| 胃がん | 胃部X線検査または内視鏡検査 | 50歳以上(男女) | 隔年 |
| 子宮頸がん | 細胞診 | 20歳以上(女性) | 隔年 |
| 肺がん | 胸部レントゲン(喫煙者は喀痰検査併用) | 40歳以上(男女) | 毎年 |
| 乳がん | マンモグラフィー(視触診を実施する場合にはマンモグラフィーと併用) | 40歳以上(女性) | 隔年 |
| 大腸がん | 便潜血検査 | 40歳以上(男女) | 毎年 |
出典:「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」健発第0331058号
平成20年3月31日厚生労働省健康局長通知別添、平成28年2月4日一部改正
糖尿病の適切な治療を受けましょう
糖尿病専門医・内科専門医と専門的な研修をうけた看護師・薬剤師・管理栄養士の地域糖尿病療養士(CDEL)によるチームが担当いたします。
がん治療中・治療後の血糖コントロール
がんの治療は吐き気や食欲不振によって食事摂取量が変化したり、抗がん剤自体や吐き気止めや緩和ケアで用いるステロイド剤による血糖値が不安定になることがあります。がんの病態や治療に詳しいがん専門医と糖尿病のチームで良好な血糖コントロールを目指します。
当院では、がんと糖尿病を中心に学術活動および患者さま向けのセミナーを行っています。
取り組みについての詳細は「学術・セミナー活動」にて掲載しています。